セトウツミ|センス抜群の会話劇!心から笑える唯一無二のギャグ漫画

河原の画像

ここで紹介したいのは、「セトウツミ」という漫画です。

この漫画はこれまでにない斬新さが話題となって人気を博しているのですが、恐らくは好き嫌いがハッキリと別れる作品だと思います。

私は友人に、「これ絶対好きだと思うから!」とかなり強めにおすすめされて読み始めたらまさにドンピシャで、単行本は全巻揃えて今は4周目に突入していますね。

私と同じように好きな人はめちゃくちゃハマると思うので、未読の人はどうぞ参考にしてください。

セトウツミのあらすじ

先輩ともめてサッカー部を止めた瀬戸と、塾に行くまでの暇つぶしをする内海という関西の高校生2人が主人公。

瀬戸は素直な性格でお調子者、内海は寡黙でクールという正反対の2人。

内海いわく「この川で暇をつぶすだけの青春があってもええんちゃうか」という言葉のとおり、川辺に座りながらなんでもないことを喋り続けます。

基本的には日常会話ですが、時には瀬戸が考案した謎のゲームを繰り広げたり、時には笑い中にしんみりしてしまうエピソードが入っていたり。

個性的で愉快な登場人物も交えながら、シュールでセンスあふれるなんでもない放課後を日々過ごします。

セトウツミはなぜここまで面白いのか?他作品にはないポイントを解説

個人的にセトウツミこそが、「ギャグ漫画の最高峰」と思っているぐらいドはまりしている私ですが、その理由は他の作品にはない唯一無二な内容だからです。

以下では、セトウツミのレビューということで、面白いと感じた部分を紹介していきます。

主人公2人によって繰り広げられる、センス抜群の会話劇!

セトウツミは漫画全体の8~9割が瀬戸と内海の2人による、会話のみで構成されている漫画です。

2人の会話には毎回なんとなくのテーマがあり、これは主に瀬戸側からネタフリをして始まります。

たとえば、

  • 好きな女の子に最初どんな内容のメールを送るか
  • コロッケ屋の店員がどんな服装をしていたか
  • 会話してて最初に否定から入る人について
  • 略語はどこまでなら許せるか
  • 古いけどかっこいい言葉の境界線について

など本当にどうでもいいことがテーマとなっていて、しかも話しているうちにドンドンおかしな方向へと広がってカオスな展開へ。

その2人のやりとりがシュールで面白く、また会話自体が作りこんだ漫才のようになっているところも素晴らしい。

担当としては瀬戸が自由奔放にボケて、それに対して内海が的確にツッコミを入れていきます。

漫画で面白い会話劇を表現するのはとても難しいと思うのですが、ボケの発想の飛躍の仕方や視点の斬新さ、またツッコミのワードセンスなどどれも抜群ですね。

また内海はツッコミだけでなく少し天然ボケも入っていて、勘違いによって話がドンドン進んでいく回があるのですが、まるでアンジャッシュのすれ違いコントを見ているかのようでした。

毎回話の最後にキレイなオチまでついており、プロの漫才師や芸人さんが監修しているんじゃないかと思うぐらいクオリティが高いです。

クスクス笑える面白いギャグ漫画は今までもたくさんありましたが、お腹を抱えて笑う体験をしたのはセトウツミだけかもしれません。

散りばめられた伏線の回収、作者の秀逸なストーリーテラーぶり!

セトウツミは単純に読んで面白いギャグ漫画なのはもちろんですが、その中にはサスペンス要素も含まれています。

というのも瀬戸と内海は、家族や生活環境において暗い1面を持っており、話が進むにつれて大きな展開となっていきます。

ただ見ている側はギャグ漫画だと思っているので、多少違和感を感じながらも読み進めてしまうんです。

一通り終わった後にあらためて読んでみると、瀬戸と内海の会話や他の登場人物の何気ないつぶやきに、いろいろな伏線が散りばめられていることが分かります。

「この時のこれが関係してくるのか!」、「たしかにそんなこと言ってた!」というように、それらがしっかりと回収されていく様は気持ち良かったですね。

そしてこれは話の目先を変えるためとか、連載の途中で思いついたとかの類ではないんです。

なぜなら後の展開につながる伏線は、すでに1巻の時点で示唆されているからです。

これは最初からラストに向け、綿密に設定していないと作れる話ではないと思うので、このあたりに作者さんの並外れたストーリーテラーぶりがうかがえます。

作品を彩る個性豊かなサブキャラクターたち!

セトウツミには主だったストーリーがなく、ともすればワンパターンというか、あまりにも話に動きがないので、「もういいよ」と思う読者もいるかと思います。

そこで活躍するのが、際立った個性を持つ魅力的なサブキャラクターたちです。

具体的には、

  • 由緒あるお寺の長女で、内海に片思いをしている樫村さん
  • 普段はよくしゃべるのに、瀬戸のことが好き過ぎて本人の前ではまともに喋れないハツ美ちゃん
  • ベラルーシから来日して7年目、いつもピエロの恰好をしている大道芸人のバルーンさん
  • 2人の対決を仕切り、公平なジャッジに定評のある田中君
  • 迫力のある岡山弁と、豪快な性格が面白い蒲生君
  • 影が薄すぎてみんなから顔を覚えてもらえない、野球部の馬場

このような様々な登場人物が2人のやりとりに彩りを添え、話の広がりを作ることにも一役買ってくれています。

私の個人的なお気に入りキャラクターは、断然バルーンさんですね。

なぜか瀬戸には優しくて、内海にはやたらとあたりがキツイというキャラ設定が面白いです。(実はこの理由も後に語られますが)

そしてセトウツミには「サスペンス要素がある」と上で述べましたが、ここでもサブキャラクター自体が後の伏線になることを喋っていたり、極めて重要な言動を引き出したりするのです。

特にハツ美ちゃんなんかはキレ者で、物語の最終的な着地点にも大きく関わってくる重要キャラクターですね。

詳細はここでは書きませんが、ハツ美ちゃんの情報収集力と分析力がなければ、怒涛の最終回はまた違った展開になっていたかもしれません。

他にも数話しか出てこないキャラもいたりするので、これらのサブキャラクターにも注目して読むといっそう面白くなると思います。

原作を忠実に再現している映画がまた面白い!

セトウツミは瀬戸役に菅田 将暉さん、内海役に池松 壮亮さんで、2016年に映画化もされています。

漫画作品が実写化されると期待外れになることも多いですが、この映画では原作を忠実に再現しているので、セトウツミファンも納得の出来栄えでした。

セリフはほとんど漫画と同じような感じですし、瀬戸と内海の絶妙にくだらないやりとりやテンポに加えて、放課後の気だるさやしょうもない日常感が、演技にてしっかり表現されています。

難点があるとしたら、池松 壮亮さんは関西出身ではないようで、関西人の私からすると少しイントネーションが気になったぐらいですかね。

また1話ごとの終わりに必ず流れるタンゴのようなBGMが印象的で、これはセトウツミが持つシュールさや世界観をより引き立てているように感じました。

あとは、樫村 一期役の中条 あやみさんがとにかく可愛いです。この点だけでも映画を見る価値はあると思いますw

樫村というキャラは高校でもマドンナ的な存在ですし、関西出身で全く違和感のない中条さんはハマり役でしたね。

セトウツミを映画化したこと自体、ものすごい度胸だとは思いますが、既読の人はもちろん原作を知らない人でも楽しめる映画でした。

これもひとえに、原作となる漫画自体が最高に面白いからでしょう。

セトウツミのまとめ

放課後に友達と他愛もないことを、夢中になって話したことは誰しもあると思いますが、セトウツミはまさにそれの究極系だと思います。

漫画で表現できる限りのハイレベルな笑いと、人生の心理や悲しさも含まれている超良作ですね。

さらにサスペンス的な要素も加わり、繰り返し読むことができる点も大いに評価したいところです。

賛否が分かれるのは重々承知ですが、もし誰かに「笑える漫画ない?」と質問されたら、自信を持ってセトウツミをおすすめするでしょうね。